志賀坂峠から二子山

2016年11月05日 快晴 3名

投稿日 2016年11月07日

​待ちにまった小春日和到来! ノーマルルートに飽き足らず、バリエーションルートに飢えている我々おじさんは今回、忘れ去られた志賀坂峠から二子山への古道を選びました。天気がいいとウキウキするのはおじさんも同じ。いつもの山友、熊谷のYさんとAさんの三人で出かけました。

志賀坂峠から群馬埼玉県界尾根を二子山へ
股峠から民宿登人前へ下山。国道299号で志賀坂駐車場に戻るルート
(国土地理院電子国土地図をカシミール3Dでルート記入、情報追加)

通過時刻 (所要時間 約6.0時間)

志賀坂トンネル駐車場 8:37
志賀坂峠 8:58
一つ目の送電鉄塔 9:00
ジャンクションピーク(JP) 9:42
二つ目の送電鉄塔 9:56
魚尾道峠 10:41
クサリ場 11:02
稜線上(クサリ場上) 11:09
西岳山頂 11:48 昼食 12:15
股峠 12:40 休憩
股峠登山口 13:49
西岳登山口 14:02
志賀坂トンネル駐車場 14:35

総歩行距離: 約7.4Km

地図にあるように、二子山は群馬県と埼玉県にまたがる山です。山頂部は埼玉県側にあるので、当ブログ「その他の山」の記事としました。その他の山なんてカテゴリーには入れたくない素晴らしい岩峰です。過去数回取り上げていますし、若い頃から何度も登ってきた私の好きな山でもあります。

志賀坂峠
群馬側から
明るい自然林できもちがよい

国道299号が埼玉から群馬に入る峠が志賀坂峠です。峠のトンネルを抜けた群馬県側に10台くらいの駐車場があり、諏訪山への登山口となっています。今回はここに駐車し、トンネルの上の志賀坂峠から県界尾根を諏訪山とは反対の二子山に向かいました。

志賀坂峠
写真は暗いが自然林の明るい峠
この写真のように明確な踏み跡が坂本方面に降りている(前方の窪み)
二子山は左方向へ
送電鉄塔がある尾根なので巡視用の黄色い標柱がところどころにある

この辺りは昔、西武が開発に力を入れたところで、志賀坂峠の埼玉側手前に志賀坂ロッジを作り、バスでこの辺りに登山客を運んでいたようです。当時はロッジを起点に県界尾根を諏訪山や両神方面。そして今回我々が歩いた二子山へと多くの登山客が歩いたのでしょう。

志賀坂峠から二子山への道
明確な踏み跡がある
手前は送電鉄塔巡視用の標柱

その痕跡は消えつつありますが、国道299号脇の小平地に残る石垣がロッジの跡を示していますし、県界尾根上にはいまも朽ち果ててはいますが当時の道標や、わりとはっきりした道跡が残っていました。古い缶ジュースの空き缶やビンが落ちていて往時を感じさせました。叶山の鉱山開発が始まる昭和57年までは、叶山方面にも行けたようです。

最初の送電鉄塔からの二子山

二子山はいまでも登山客に人気の山ですが、そのほとんどは坂本から股峠、魚尾道峠経由の西岳稜線周回と思われます。このため今では志賀坂峠は鳥の声が聞こえるだけの静かな稜線となっています。

ジャンクションピーク(JP)にある古い道標
完全に錆びて判読不能
志賀坂 <-> 二子山と坂本方面を指している
指している坂本方面には明確な踏み跡が残っていた

志賀坂トンネルの駐車場は日当たりが無くいつも寒々としています。諏訪山谷コースの道と分かれ植林帯の道を行くとほどなく187年前の馬頭観音を見て、こんどは諏訪山尾根コースと分かれて直進すれば志賀坂峠です。この峠からは大勢の人が昔歩いた証拠の窪んだ道跡が下に降りています。おそらくロッジから登ってきた道でしょう。

叶山鉱山開発による叶山方面入山禁止の看板

自然林の明るい雑木林を二子山に向かいます。踏み跡は明瞭です。ほどなく古い送電鉄塔があり、眺めが楽しめます。鉄塔から樹林の単調な急登となり、やがて前方が少し明るくなったと思ったらP1090に近いジャンクションピーク(JP)です。ここから昔、叶山へと辿ったようですが、叶鉱山が始まってからは行くことができません。足元には昭和57年から開発が始まったので入山禁止と書いた看板がありました。また、鉄製の赤茶けた道標が立っており、字は読めませんが、おそらく志賀坂峠と二子山を示しており、更に埼玉側の下降路を示していました。確かにその道標が示す方向にうっすらと道が降りていました。

JPにあったかなり古い道標
後日ゆっくり判読したい

ジャンクションピークからは右へ進み、少しのアップダウンを伴いながら明瞭な踏み跡を拾って行きます。二つ目の送電鉄塔は絶好の見晴らし台となっており、好展望です。近づいた二子山が大きく立派です。二子山のような岩峰はあまり近付き過ぎないほうがよいようですし、とくにこの二子山は西岳と東岳の二つがあまり重なってしまわないほうがよいのです。その点この送電鉄塔は最適な位置にあります。

二つ目の送電鉄塔からの二子山
この送電鉄塔は絶好の展望台
叶山方面も見える
写真二枚の合成パノラマ

やがて道は藪っぽくなって、鹿の食害防止ネットが現れ、右の埼玉側は植林帯となります。道標があって下から来る一般道と合流すれば魚尾道峠(魚尾峠)です。

県界尾根上にある古い道標
昔、志賀坂峠 - 二子山間が一般に登られていた証拠

この峠は古い峠とどこかで読んだように思うのですが、その位置からして埼玉側の坂本集落から、群馬の神流川沿いの集落に出るための峠だったのではないかと想像しています。それは別途考察してみたいと思っています。

関連記事: 峠考 「魚尾道峠」

魚尾道峠(よのおみちとうげ)
左の埼玉側は伐採・植林されている
右の群馬側は自然林
左に延びる道はローソク岩方面への道

峠からは滑りやすい急登となり岩壁に突き当たったら、左にへつってゆき、オーバーハングした岩の基部の先から岩壁に取りつきます。石灰岩は雨による浸食で岩角が鋭く、穴や窪みが多いためホールド、スタンスが豊富で容易に登れます。灌木の間をよじ登ってクサリ場を登れば稜線です。

二子山稜線直下のクサリ場を登るYさんとAさん

二子山の稜線は岩だらけでほとんど土は踏みません。岩は堅く安定していて安心ですが、高度感があるため、ルンルン気分で通過できるところではありません。細心の注意が必要です。ゆっくり慎重に進みながら、徐々に近付く西岳山頂標を目指します。

二子山の稜線から志賀坂峠方面を見下ろす
歩いてきた尾根と、小さく二つ目の送電鉄塔が見える

日差しの暖かい西岳山頂で昼食。下山は股峠から坂本の民宿登人に出る一般ルートをとりました。一般道といっても傾斜が急で滑りやすく、クサリもありますので、侮れません。車道に出たら、名物のよく鳴くワンちゃんの家の前を通過。国道299号を2.8Kmほどをてくてく歩いて志賀坂トンネルを抜け、駐車場に戻りました。

二子山西岳山頂
小春日和の温かい陽に照らされていた
ここで昼食

二子山西岳は標高1165m。山体はさほど大きくは無く、4,5時間あれば一周できるほどの小さな山です。しかし全山岩でできたこの山は他の山にはない踏破の満足感があり、薬味の利いた登山が楽しめる山です。今回はそれの前半、志賀坂峠から、今は歩かれなくなった県界尾根のバリエーションルートを加えて楽しんでみました。

股峠に向けて下山する
一般道と言っても急傾斜でクサリ場もある
スリップ注意!

帰りのお風呂は皆野の梵の湯にしました。

Yさん、Aさんお疲れ様でした。 

(熊五郎)

 

コメント(2)

  • 木々の作り出す影が素敵。でも大変そう。 (agewisdom) 2016/11/7(月) 午後 9:21
  • まだまだこの辺りは緑が多いのですが、一部紅葉していました。小春日和の太陽が濃い木陰を作ったようです。(熊五郎) 2016/11/7(月) 午後 9:45

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