北アルプス 白馬岳から朝日岳へ
2014年7月25日から27日 3名
投稿日 2014年08月05日
熊谷市のY氏とA氏の3人で、北アルプスの北端にある名峰小蓮華山(これんげさん)、白馬岳(しろうまだけ)、雪倉岳(ゆきくらだけ)、朝日岳(あさひだけ)を縦走した。
今年は強く降ることの多い梅雨であったが、順調に明けて、いわゆる梅雨明け十日以内の好天の時期に入山することができた。ただ、そこは山岳地帯。3日間というわずかな期間さえ望みの天気には留まってくれなかった。入山1日目はまずまずの晴天で回復傾向。2日目は快晴、3日目は早朝から午前9時ごろまで雨に強風を伴った最悪の天候。蓮華温泉に着くころにはさわやかな風がそよぐ日差し。JRの平岩駅では再び雨。山の天気はめまぐるしい。
八方台の駐車場
すでに満車だったため、200mほど手前の小さい方の駐車場を利用
奥に見えるのはトイレ
ルート図
カシミール3Dで編集
栂池(つがいけ)から入山し、白馬大池を経て、四つの山を縦走後、蓮華温泉(れんげおんせん)に降りるルート。総沿面距離は32Km。 稜線上はほぼ2000mを下回ることががない。北アルプス北端の最後と言える朝日岳でも2400mを超え、そこからわずか19Kmで日本海だからいかに急峻な地形かがわかる。そのため平地は無く、親不知(おやしらず)の海岸線でいきなり海に落ちる。その証拠に北陸自動車道は陸地を通せず海の上を走っている。
白馬岳への登りから振り返る小蓮華山 2766m
新潟県の最高峰
栂池のロープウェイで一気に1800mを稼ぎ、栂池自然園から天狗原、乗鞍岳を経て、青い水をたたえた白馬大池へ。残雪を映す水面、お花畑、舞う蝶。頭上の青い空と、雲をまとう遠くの山々。来てよかったと思う瞬間。
大池から小蓮華山へは登りは、初日の体にはこたえる。この小蓮華岳に登るルートがNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」のエンディング曲「Stand Alone」で使われた映像のロケ地だ。這い松の尾根に握りこぶしほどの割り裂かれたするどい角をもつ石がおびただしいく広がっており、白くきれいな径が稜線上の雲を目指してつづいている。
関連記事: 坂の上の雲「Stand Alone」のロケ地を経て
小蓮華岳は岩が累々と重なった山頂だ。2007年に山頂部が陥没しているのが発見され3m低くなり今は標高2766mとなっている。分厚い鉄でできた大きな剣が空に向かって立っている。小さな剣が直角に木の枝のように付いている。昔の写真では枝剣が三つ認められるが、今はひとつしか残っていない。新潟出身のY氏は、新潟県の最高峰に立つことができ、ご満悦の様子だ。Yさんおめでとう!
白馬岳の山頂
右側(西側、富山県側)は穏やかだが、左側(東側、長野県側)は切れ落ちている
このルートの山域は新潟県、富山県、長野県の三県の結合部に位置する。小蓮華山は新潟県と長野県の県境にあり、新潟県の最高峰である。白馬岳は長野県と富山県の県境。雪倉岳、朝日岳は富山県と新潟県の県境にある。三県は小蓮華岳と白馬岳との中間にある三国境2751mで結合している。三県の境とはいえ三国境は現場に行くと目立たない場所だ。三県の境がこんな地味な場所でよいのかと思ってしまうが、地形を見れば、五竜、鑓ヶ岳、白馬岳と南から伸びてきた主稜線が雪倉岳、朝日岳を経て日本海に落ちるには、この三国境から派生する目立たない尾根しかなく、ここを県境とせざるを得ないのがわかる。
白馬山荘からの剱岳
山々を取り巻いていた雲は徐々に上昇。明日の晴天を約束していた。にぎわう白馬岳山頂を越えて白馬山荘へ。私としては慣れない山小屋泊まり。大勢の人と一緒に夕食をすませ、暮れなずむ山々を楽しむ。まだみんなが寝静まっている3時ごろ起きて満天の星空を眺める。銀河がはっきりわかるほど星の海だ。下の方に富山の町の明かりもきらきら光って見える。
翌朝、まだ空気がしっとりしている時間。モルゲンロートの剱岳を眺めようと外にでてみたが、残念ながらモルゲンロートにはならなかった。しかし朝の山は美しい。
パノラマ展望: 北アルプス 白馬岳山頂から剱岳方面
小蓮華山から白馬への縦走路から見た雪倉岳
這い松、草、残雪からなる山体が美しい
朝食を済ませ、再び白馬岳の山頂を越える。三国境に戻り、雪倉岳への道に入る。雷鳥がかわいい雛を連れて通過していく。雪田を何度か横切り、雪倉岳の避難小屋に着く。残雪が水を提供してくれそうな場所だ。小屋の中はきれいな板張りの二段構造。快適そうな山小屋だが非常時にしか使えない。
ウルップソウ(雪倉岳にて)
この山域は高山植物の宝庫だが、なかでも珍しいウルップソウを見ることができた。ほとんどは次期遅れだったが、雪倉岳の登りできれいな花をつけたウルップソウを見つけた。この花は、本州では白馬から、この雪倉周辺と八ヶ岳でしか見られないという。
雪倉岳山頂から白馬岳方面を振り返る
右隣の旭岳も立派に見える
パノラマ展望: 北アルプス 雪倉岳山頂からの360度の展望
雪倉岳の山頂は申し分のない展望だ。歩いてきた道が見渡せる。ここから見る白馬岳は高く天を突く。しかしそれは崩壊していく山の切れ端のようなピークだ。右隣に目立つのは旭岳。こっちのほうがよほど安定感があり安心して見ていられる。この旭岳、登山道が無くあまり登られない山のようだ。それは白馬岳があまりに人気があるせいだが、白馬岳に立った人は、すぐ隣にそびえるこの旭岳の存在に気付いておどろくようだ。
雪倉岳からは急な下降となる。小屋で補給した水もそろそろ少なくなるが、幸い雪田から落ちる水を何度も横切るので水の心配はなくなる。崩壊しないか心配になる巨岩の下の道をたどり、ツバメ平やツバメ岩を見て、湿原の小桜ヶ原に出る。そこから見る朝日岳はやさしい姿だ。
小桜ヶ原からの朝日岳
今回は雪が多く残っている影響か、朝日小屋への水平道は使えず、山頂経由することになった。朝日小屋は料理がよく、寝床も広々(布団1枚)で、熟睡することができた。名物女将は元気が良い。群馬県太田のスバルのOBさんたちと同じ部屋になり、山の話に花が咲く。
翌朝、打って変わって悪天。雨の中、朝日岳を再び超え、吹上のコルあたりまでの稜線上は暴風雨。何も見えない中、風でふらふらしながら蓮華温泉に急ぐ。五輪の森から、五輪高原は木道が多いが、滑らないように考慮された木道で歩きやすい。花園三角点1754mを確認して、カモシカ沢を下る頃には雨が上がり青空も見え、しっとりとした林内はすがすがしい空気で満ちていた。激しく流れる白高地沢の鉄橋、瀬戸川の鉄橋、ヒョウタン池、兵馬ノ平、アヤメ平を経て蓮華温泉着。汗を流しさっぱりして帰途に着いた。
行程実測時間
7月24日
20:00 熊谷を出発
八方尾根 第三駐車場 深夜着 仮眠
7月25日
八方尾根 第三駐車場を6:00ごろ出発 徒歩でバスセンターへ移動
バスセンター 栂池行きバス乗車 06:35
栂池パノラマウェイ ロープウェイ乗車 xx:xx
栂池自然園 栂池山荘横の登山口より登山開始 08:15
天狗原 09:40
乗鞍岳 2437m 10:50
白馬大池 11:35
小蓮華岳 2766m 14:05
三国境 2751m 15:03
白馬岳 2932m 16:08
白馬山荘 16:25
7月26日
白馬山荘 05:25
三国境 06:21
雪倉岳避難小屋 07:58
雪倉岳 2611m 08:47
小桜ヶ原 11:39
朝日岳 2418m 14:03
朝日小屋 15:15
7月27日
朝日小屋 05:30
朝日岳
白高地沢の鉄橋
ヒョウタン池(昼食)
瀬戸川の鉄橋 11:45 (昼食)
兵馬ノ平 12:55
蓮華温泉 14:15
(入浴)
JR平岩駅行きバス 16:05
JR白馬駅からタクシーで第三駐車場へ戻る
ルート始点と終点の標高と沿面距離、最低/最高点の標高差
1日目 栂池自然園 1840m - 白馬山荘 2842m 沿面距離 9.2Km
最低点 栂池自然園 1840m - 最高点 白馬岳山頂 2932m 標高差 1092m
2日目 白馬山荘 2842m - 朝日小屋 2142m 沿面距離 11.5Km
最低点 ツバメ平 1986m - 最高点 白馬岳山頂 2932m 標高差 946m
3日目 朝日小屋 2142m - 蓮華温泉 1463m 沿面距離 11.3Km
最低点 瀬戸川の鉄橋 1166mm - 朝日岳山頂 2410m 標高差 1244m
沿面距離合計 栂池自然園 - 蓮華温泉 32Km
(熊五郎)
コメント(2)
- 素晴らしい眺望ですね。健康で山を愛して登れることは恩寵の一つですね。(agewisdom) 2014/8/5(火) 午前 10:5
- agewisdomさん、コメントありがとうございます。山を単なる通過点にしない。これが私の心情です。(熊五郎) 2014/8/5(火) 午後 1:31