八ヶ岳 阿弥陀岳南稜からキレット、ツルネ東稜下降

1984年(昭和60年)7月20,21日 2名

投稿日 2009年07月14日

キレット付近から、阿弥陀岳南稜 左の丸いピークの上からP1,P2,P3,P4 (P1,P2は小さい)


古い記録なので、現状を確認して入山してください。

この年の6月9日に立場川本谷を遡行しましたが、立場川と広河原沢を隔て、上部に岩塔をもつこの稜線には以前から興味がありました。この阿弥陀岳南稜はバリエーションルートのひとつで、上部のP1からP4の4つの岩塔のうちP3の登攀が少し悪いために一般道にはなっていません。しかしこのルートは、尾根途中の「青ナギ」や、キレットと赤岳間の一般ルートを違う角度で見られる点。広河原の岸壁がよく眺められる点で興味深いルートです。今回は阿弥陀岳南稜のほか、ツルネ東稜が下降路として使えるか調査する目的もありました。

青ナギを行く

キレット側から見た青ナギ。青ナギの右がシシケ岩。右の丸いピークが無名峰

Y氏の車を立場大橋から少し入った駐車場に留め、仮眠の後入山。旭小屋に6:30着。小屋裏のガレを登り尾根に出ます。尾根上は箱庭の様で、朝のすがすがしい空気の中、まぶしい陽が差し込んでいました。長い登りで少しずつ高度を上げていきます。西岳がなかなか低くなりません。立場山は気がつかないうちに通過してしまいました。しばらく下り気味で青ナギに出ました。その名の通り青く、かなり広いザレで、立場川に落ちています。青ナギが終わると、すぐに急登となり、無名峰2540mに出ると、赤岳が目の前に立ちはだかります。ここから岩塔が阿弥陀岳の山頂に向かって並んでいるのが望めます。キレットから権現岳に伸びる稜線もすばらしい眺めです。はるか下方には立場川本谷の流れが輝いており、沢音も聞こえます。

P1付近から見たP2,P3 目の前に小さなP2。ガスがかかっているP3。右下尾根上に踏跡があるのがわかる

岩塔のうちP1,2,4は難なく通過できるが、P3の通過は、目の前の岩壁から左下にトラバースし、流れの無いルンゼに入り、急登して稜線に出ます。ルンゼの下はそのまま広河原沢に落ちており、スリップすると危ないところです。ルンゼに入る際は下から伸びてくるルンゼの岩板が一段、段を成しているので、その段を超えて上に出ます。段より上は難なく通過できました。このときは、このトラバース地点に看板があり、「岩溝コース 直登はザイルが必要」と書いてありました。

阿弥陀岳山頂付近のP4から見下ろすP3。中央の丸いピークは無名峰。右端に青ナギ

このあと阿弥陀岳の山頂(11:00)に出て、一休みしました。頭上に積乱雲があったが、まだ発達しておらず、青空が目立ちます。中岳へ下降し、コマクサを見て赤岳への登りにかかります。キレットへの分岐点で荷物を置き、赤岳へは空身で往復しました。赤岳山頂は人が多くげんなり。3回も写真を撮らされました。シャッターを押しに山頂まで来たわけではありません。

キレットへ下降中雷が鳴り出しました。キレット小屋でテントを張り、1.5時間ほど昼寝。雷の中夕食をとりました。翌朝ツルネに出ました。ツルネは南八ヶ岳の展望台です。コマクサも見られます。ツルネ東稜への下降点には看板があり、「不明瞭なため入るな」と書いてあります。しかし歩いてみると踏跡ははっきりついており、このときは昭和30年代の古い黄色の看板が木に打ちつけてあるのが目印になりました。地獄谷の河原に降り立つと、、すぐに上ノ権現沢が流入します。河原をしばらく歩くと赤岳沢が品祖だが左から流入し、そのすぐ下流に大きなケルンがあります。さらに河原を行くと、やがて流れが消えて、最初の砂防ダムを通過して10mくらい下流に左上方への道があり、15分くらい登ると林道に出ました。林道を美し森まで歩き、タクシーを呼んで、立場大橋の車まで戻りました。

ツルネ山頂にある、ツルネ東稜への入り口(一般道ではないので注意)

赤岳南面から権現岳方面。丸い草付きのピークがツルネ。そこから左下に伸びる尾根がツルネ東稜 

​(熊五郎)

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