レンゲツツジ

投稿日 2023年06月30日​

レンゲツツジ
群馬県吾妻郡嬬恋村 四阿山にて
2023年06月25日撮影

ツツジを山で見かけることは多いが、朱色のツツジとしてよく見かけるのは「ヤマツツジ」だ。しかし同じような朱色でもこの「レンゲツツジ」とは全く別物。「ヤマツツジ」は関東であれば赤城山や秩父の山でよく見かける。花は少し小ぶりで多数の花を付ける。丈は様々だが概ね身長より高いものが多い。つまり背が高い。

​一方で「レンゲツツジ」はどちらかというと花は大きく、樹形はこんもりしていて低い。街中の公園や道路の路側に植えられている一般的なツツジにどちらかというと似ている。花形や葉も街中で見かけるツツジに似ている。ただ、このような鮮やかな朱色のツツジは、街中ではあまり見かけない。

​「レンゲツツジ」はやや高山性なのか、今回見かけた標高の高い高原状を好むようだ。四阿山(あずまややま)はカラマツの植林やツガの原生林などがあるが、明るく開けた高原状を呈している場所も散見され、そのような場所にレンゲツツジは好んで分布しているようだ。近寄れなかったが、遠目にはかなり群生している斜面もあった。

明るい高原状に咲くレンゲツツジ
標高2000mくらいの陽当たりのよい鞍部

また、カラマツ林の下生えの笹に交じって、点々と分布していたのも見た。大きな株は無かったが、何とか笹の上に頭を出して朱色の花をつけていた。カラマツ林は高原状とは言いにくいが、比較的林床が明るいため、「レンゲツツジ」も生きていけるのだろうか。カラマツ林の林床は完全に笹で覆われていることが多く、全く他の植物の侵入はできないのではないかと思っていたが、「レンゲツツジ」は例外なのだろうか。

カラマツ林の笹の林床に咲くレンゲツツジ
笹からなんとか頭を出して咲いている

分布地は四阿山の他に、近くだと浅間火山群の西の端にあたる烏帽子山、湯の丸山にもあるようだ。四阿山も烏帽子山も同じ「上信越高原国立公園」だが、烏帽子山では写真のような看板を見かけた。「レンゲツツジ」は天然記念物だと書かれている。

​そういえば群馬県の県花(シンボル花)は「レンゲツツジ」だ。なぜ「レンゲツツジ」が選ばれたのか知らないが、群馬の高原には「レンゲツツジ」が多いのは確かだ。赤城山の白樺牧場には「レンゲツツジ」の見事な群生が見られるが、これはなるべくしてなった結果のようだ。というのは「レンゲツツジ」は有毒植物だからだ。子供の頃、よくツツジの花の蜜を吸ったものだが、「レンゲツツジ」の蜜を吸うと子供なら死ぬ可能性もあるらしい。だから当然牛や馬も「レンゲツツジ」は食べない。

「上信越高原国立公園」内の看板
浅間火山群の西の端にあたる烏帽子岳、湯の丸山山域の
レンゲツツジの群生地について
天然記念物とされている

花の色は、見たところ個体差がけっこうあるように思えた。やや黄色味を帯びたものから、濃い朱色まで。ただ、花の色は咲いてからの時間や、光線の具合で違って見えるため何とも言えない。ただ、一口で朱色と言ってもものたりないような気がする。朱色、朱赤、緋色、緋色、猩々緋、スカーレット、バーミリオン、コーラルレッド、橙、赤橙....... いやぁ、むずかしい。

​(雅熊)

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