走り梅雨には白い花が似合う

投稿日 2022年06月04日​

コガクウツギ
埼玉県秩父市浦山 細久保谷の林道にて
2022年5月28日撮影

5月中旬頃から、まだ梅雨入りには早いのにぐずつく日が続くことがあります。走り梅雨というのでしょうか。太平洋側の海上にははっきりした梅雨前線があり、それが近づいたり離れたり。雨が3、4日続き、1日晴れたかと思たらまた雨なんてことになります。あぁ、このまま梅雨に入ってしまうのかなと、憂鬱な気持ちになります。

​そんな天気が難しい5月ですが、タイミングを見計らって山に登ると、昨日の雨でしっとり濡れた山内に、いつもより多めの沢水が勢いよく音を立てています。目指す山頂は層雲に覆われていますが、雲の間から青空がのぞき、これからの晴天を約束してくれています。

マルバウツギ
埼玉県秩父市 安谷川秩父林道にて
2022年6月1日撮影

初夏への移行のこの時季、木々の葉は出そろって来て、林床は暗くなりつつあります。木下闇もそこかしこに。しかしそれは木漏れ日とのコントラストが強いからでしょうか。野鳥の声もいっそう鋭く聞こえます。

​この頃の山内はなぜか白い花が多いようです。林道などの日当たりのよいところにはニセアカシア、ハクウンボク、オオカメノキ、ノイバラ、エゴノキ、ヤマボウシなどが。林床にはマルバウツギがそこかしこに。甘い芳香も漂っています。春先にはあんなに薄ピンクや、赤、赤ムラサキ、サーモンピンクなど、暖色系の花たちが多いのに、初夏を迎えるこの時期はなぜか白い花が多いようです。

ハクウンボク
群馬県南牧村 大山付近の林道にて
2016年6月4日撮影

先日の山ではマルバウツギが芳香とともに迎えてくれました。標高500mを越えるあたりから1000m程度の山道に沿って、細い枝の先にアジサイに似た花を付けていました。白く大きな花弁はおそらくガクでしょう。その近くに細かい作りがおそらく花でしょう。芳香はそこから出ているようです。どのように分布しているのかはよくわかりませんが、標高500mほど以下の民家のあるようなところではあまり見かけませんが、林道脇の岩の斜面などに高さ1m内外のこじんまりとした株が間隔を開けて花を付けていました。あまり高いところには逆に無いようです。

​この芳香にどんな生き物が誘われて来るのでしょうか。甘い香りの中へ歩を進めると、いつしか白い花が咲く夢のような世界に引き込まれていきます。

(雅熊)

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