夫婦登山の心得

投稿日 2016年01月22日

最近仕事を引退して山でも始めてみようかと、奥さんを誘って山に出かける方が増えたようです。

男性は昔取った杵柄ですこし経験があるか、まったくの初心者。とにかくやる気は満々。体力はまだまだいけると思っている。

奥さんは、自分よりももっと山は初心者。体力もありません。

男性のほうは多少無理をしてでも格好のいいところを見せたくなる。

女性のほうは、体力がなくついていけない。

山の情報や計画はすべて男性の頭の中のみ。女性は何も知らない。

ほんとにハイキング程度ならいいのですが、山頂まで2,3時間かかる、いやもっとかかる山に登る。

そんな二人に何が起きるか。

分裂です。

つまりお互いに見えなくなるまで距離が空きます。

女性は付いていけないので、戻って待ってると言いはじめます。

しかし、男性は山頂まで行くことに集中しており、持っている情報を駆使して予定行動を全うしようとします。女性にいいとこも見せたい。

女性のほうは何ら情報はなく、これからどのくらい歩けばいいのかもわからない。男性の話を聞いても、はたして登りきれるかどうか不安。知っているのは戻る道(来た道)と車の場所だけです。それもうろ覚えで地図も持っていない。

男性は戻ることを許し、二人は離ればなれになるのです。

男性は山頂を極め、女性の元(待っているはずの駐車場)に戻ります。しかし女性はどこにも見当たりません。

慌てた男性は山中を探し回り、やがて日が暮れて途方に暮れることになります。

女性はどうしたのか。

下山路を間違えてあらぬ方向に下ってしまい、迷っているのです。または、

途中で怪我をし、降りられずにどこかで困っているのです。または、

途中でよからぬ者たちに遭遇し、危険な目に遭っているのです。

遭難騒ぎです。

もし女性が無事車に戻ったとして、逆のケースもあります。

山頂を極め下りてくるはずの男性が戻ってこない。日が暮れるまで待って、遭難騒ぎとなります。男性は道に迷ったか、怪我をして下りられないのです。

こういったことがなぜ起こるのか。

それは考え方、行動の浅はかさから来るものです。

二人で山に入ったなら、お互いに見えなくなるほど離れてはいけません。

女性一人での行動は慎むべきです。山慣れない女性。とくに誘われて付いてきて、山に対する知識がない女性は。

女性が戻ると言うなら、男性も一緒に降りなければなりません。いや、戻ると言ってくれたらまだいいほうで、女性の行動や顔色を常に伺ってついて来れるのかいつも判断し、男性のほうからいつでも戻ることを伝えておかなければなりません。

女性でなくても途中から一人になる危険は大変大きなものです。

女性は特に危険と承知しておく必要があります。

戻るというのは予定になかった行動なので、先先まで考えられていないのが普通だからです。

「そこのお姉さん、ちょっとここを入ったところで友達が怪我をして困っているので、手を貸してもらえませんか」と言われ、親切にもついていくと、藪の中でいたずらされて、最悪戻らぬ人となってしまいます。金銭で済んだらまだいいほうです。

大げさと言われるかもしれませんが、このような神隠し的なことが起こるかもしれないと思っておく必要はあります。

また、山慣れない女性が辛抱できず、ちょっと用たしに道を外れたら、そこは崖になっていて滑落してしまったなど(女性は深く道から離れるのが常)。人の悪意が関与しない場合もあります。人知れず滑落し、見えない場所に落ちてしまったら、なかなか見つかりません。

責められるべき愚かな行為
君は体力が無いから何も持たなくていいよ。
君は緩いう回路を行きなさい。私は本道を行くので上で会おう。
先に行って待ってるから、君はゆっくり登って/下りてきなさい。
ちょっと疲れたからここでしばらく休んでいます。あなたは先に行ってください。
疲れたからここから戻ります。あなたは登ってください。

まとめましょう。

夫婦で登山する場合は、

体力のない女性に先に歩いてもらう。
お互いに目の届く範囲に居る。
お互いの体調に目配りする。
勢い余った行動はしない。自慢や自分をよく見せるための行動は慎む。
女性も計画に参画し行動予定を把握して登る。
万一、離ればなれになった場合の対処法を決めておく。
お互いにひととおり必要な装備や食料はすべて担ぐ。(自分の水、自分の食料、防寒具、雨具、地図、ランプ、シート、予備衣類など)
携帯電話は当てにせず、できたら簡易無線を携行する。
常に二人で地図上の位置を確認しながら歩く。

山は迷路であり。今でも山賊が居る。そう思って、愛する奥さんから一時も目を離さぬことです。

夫婦登山でなく、つわものの男性ばかりのパーティーでも、離れたりするとすぐ後ろを歩いているはずの相棒がいつまでたっても来ない。なんてことが起こるのです。ちょっと用たしや、靴ひもの締めなおし、疲れて息継ぎ、お互い見えなくなるような岩角を回っている道、一人しか通過できないような岩場、ガスで10mも先が見えないなどなど。これらをきっかけに離れ、人知れず滑落するということが起こります。ちょっと声をかけて相棒がいつも見えている範囲でお互いに確認しながら行動すべきです。

(熊五郎)​

 

コメント(2)

  • 我が家は夫婦とも登山とは関係ありませんが、外国旅行のときなども同じようなことが言えるなあつくづく思いました。 2016/1/22(金) 午後 6:14
  • そうですね、旅行でも同じだと思います。危険な場所に居るということを認識して、想定できる事態を回避する考え方や手立てをもっていないと、危ういんだと思います。(熊五郎) 2016/1/22(金) 午後 9:43

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