アバランチェ・シュート
投稿日 2009年12月17日
谷川岳 幽ノ沢のアバランチェ・シュート
山を構成する岩盤が柔らかければ、風雨の浸食によって削られ、
その溝は直ちに深く食い込み、山は後退する。
しかし、岩盤が固い場合、溝は急峻になり、豪雪地帯であれば雪崩の巣と化す。
アバランチェ・シュート(Avalanche chute)はそうやって作られる。
谷川岳の一ノ倉沢や、この幽ノ沢にはアバランチェ・シュートが見られる。
にわかに信じがたいことだが、雪崩がこのような滑り台を作ったというのだ。
硬い岩盤を、雪崩が削るとは思えないが、そこは時間のなせる業か。
人間が目にするはるか前から、雪がこの岩壁を繰り返し舐めた。
雪の通り道はつるつるに磨かれた広い溝になっているが、その溝と溝との間の盛り上がりには、
背の低い植物が身を寄せ合って生育している。
堅炭尾根を登ると、幽ノ沢のアバランチェ・シュートを見下ろすことができる。
(熊五郎)