足尾 赤倉山 古道を辿って天上の楽園へ

2013年11月30日 快晴 3名

投稿日 2013年12月03日

11月も終わり、明日からは師走というこの日。寒くなってきました。

このころの山は木々が葉を落とし終え、青空の広がる明るい道を落ち葉を踏みながら歩く、

晩秋、初冬の山が楽しめます。

そんな山を想像しながら、山屋としてはこたつで丸まってはいられない。

どこへ行こうかと探して見つけたのが、

お隣の県 栃木の「赤倉山」1442m。

丸いピーク付近から 左が赤倉山山頂

ネットの情報によると笹原で覆われた明るくさわやかな感じの山。

コレ!と決めて、さらに調べていると、この山には道が無い。

あるとしても、踏み跡、けもの道程度。

そうなれば、いよいよ興味がそそられます。

登山ルート全景 栃木県足尾 赤倉山周辺 カシミール3Dより

わたらせ渓谷鉄道の終点「間藤」(まとう)のさらに奥。

足尾鉱山の一角。

鉱山の辺り、松木川をとり囲む山々は、岩だらけのものものしい姿。

「赤倉山」もけっして例外ではないのでしょう。名前からして岩を秘めてる感じ。

ですが、山頂付近はいたって女性的。

西の鉱山側には近寄らず、東の日光側を歩いている限り、ゆったり楽しめそうな山です。

半月古道

しかし、こんなに日光に近く、麓に電車の駅まであるこの山に登山道が無いとは?

山には道がない(とっくの昔に消えたのかも知れませんが)ものの、

麓の深沢という沢沿いには、足尾から半月峠を越えて中禅寺湖畔に至る「半月古道」があり、

往時は茶店も数か所あって、繁栄していたようです。

今では国道122号が通って車でいろは坂を登れば簡単に入れます。

しかし、歩きが主だった時代に、手っ取り早く中禅寺湖周辺に入るには、

「半月古道」は理想的な道だったのではないかと想像します。

まぁ、それにしても銅鉱山も廃鉱となった今は、当時の繁栄の様子はなく、

さびしいこの山域の「赤倉山」に登山者の注目を浴びるような時代は来そうにありませんが、

我々のような藪山好き。一日誰にも会わないような山を好む人間にとってはありがたく貴重な存在です。

稜線へのルート途中 灌木の間を登る 徐々に傾斜が急になる

例によって熊谷のYさんとAさんの三人。

ネットの情報をもとに、先人のルートをなるべく忠実に辿ってみました。

まず「半月古道」へは、間藤(まとう) 赤倉の郵便局から「南橋」バス停先右の細い道に入ります。

こんなところでも、入り口まではGoogleのストリートビューで確認しておけるので便利ですが、

さすがに林道までは見られません。

この道はところどころ舗装されていますが、結構悪路なので、我々は道に入ってすぐのスペースに

車を置きました。

赤倉山山頂付近から夕日岳方面を眺める

1Kmほど歩けば道は終点となり、10台くらい置けるスペースがあります。

少し下がって河原に下り、対岸へ渡渉します。そこから半月古道が始まります。

道はやや消えかけていますが、深沢沿いにのびており、途中、石垣のある茶屋跡とロボット雨量計に出ます。

赤倉山へは、この茶屋跡の前を山頂付近に向かって登ります。

古道は、尾根の出っ張りを回り込むため雨量計の奥に続いており、

ときおり左岸に渡り返しながら約5kMほど上流で、ツズラ折れに左岸(下流側をみて左)を登って

国道122号の神子内から来る「神子内林道」に合流します。

笹原に白樺の美しい稜線 笹原の中の踏み跡を辿る

この道には「足尾-半月」の小さな看板がところどころにかかっている他、赤テープなどもあり、

迷う心配はありません。

「半月古道」が神子内(みこない)林道と合流してしばらく続いていますが、

やがて半月山手前の崩壊地付近で林道は終わり、

そこから山道が半月峠へと続いているようですが、今回は歩いていません。

赤倉山山頂 地図では標高2442mだが看板は2422m

「半月古道」はこれくらいにして、「赤倉山」への取り付き点ですが、

茶屋跡の前の石像二体を見て、赤倉山山頂付近から出ている枝沢に入り、岩の間を流れる水流をまたいで右前方の尾根にとりつきました。

鹿の糞がところどころに落ちている斜面を、灌木をつかみながら登ります。

1514mのピークから手前に半月山 奥に男体山

上に行くほど傾斜が急になってきます。露岩が現れるころ、背後の山並みが見渡せ、大きな松が立つ

ところで、傾斜の緩い尾根筋に出ます。

しばらくして笹が現れ、右下にぬた場(動物の水飲み場)を見て、笹原の丸いピークに出ます。

そこから左に赤倉山のピークまで20分程度。

笹の中のわずかな踏み跡を辿ります。

唐松の神子内林道

山頂にて昼食。車を置いたのが9時ごろ。山頂が11時40分でした。

皇海山が三角で高く見えています。

山頂から折り返して丸いピークに戻り、踏み跡明瞭な稜線を気分も上々で歩き、

小ピークを越えて1514mのピークを踏むと、前方に崩壊地、半月山が見えます。

鞍部まで下りて、少し登るかえすと、林道に飛び出ました。

この林道は先に説明した「神子内林道」ですが、これを歩き続けるとやがて国道122号に出てしまうので、途中のつづら折れの道を深沢に下ります。

林道から突然沢に向かって下りるので見逃しやすいと思いますが、左手上に岩が、にょきっと立っているので、目印になります。(下り口に赤テープもぶら下がっている)

つづら折れ道を下り、深沢に降り立って渡渉し、対岸の半月古道を再び拾います。

半月古道に下りるつづら折れ道の入り口にある目印の岩

深沢沿いの半月古道は比較的明瞭。迷うことはありませんが、ときどき対岸に渡渉します。

途中、鹿対策をした植林地帯を通過し、

再び茶屋跡を見て車に戻りました。

帰りのお風呂は、この山域ではお馴染みのわたらせ渓谷鉄道水沼駅にある温泉。

今回もひと風呂あびて帰途につきました。

深沢茶屋跡から稜線までの登高ルート 国土地理院ウオッちずより
今回は赤ルートをとったが、緑ルートにように早めに尾根をつかまえた方が傾斜が緩いと思う

駐車地点 標高699m - 茶屋跡 標高1016m 標高差317m 2.5Km
茶屋跡 - 赤倉山 標高1442m 標高差426m 1.8km
赤倉山 - 神子内林道合流点 標高1489m 標高差 47m 1.95Km
神子内林道合流点 - 茶屋跡 標高差 -473m 3.2Km

歩行距離 合計 約12Km 約6時間 

(熊五郎)​

 

コメント(2)

  • 落葉松の道が昔歩いた伊那の山奥を思い出して懐かしくなりました。あの子尾はまだ坂道登れましたっけ。 2013/12/3(火) 午後 2:02
  • 伊那辺りは唐松がきれいでしょうねぇ。あのへんの代表的な木です。伊那や塩尻辺りで唐松林を初めて見ると、その美しさに驚きます。(熊五郎) 2013/12/3(火) 午後 2:39

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