八ヶ岳 唐沢鉱泉から西天狗岳
2018年8月30日 曇り 2名
投稿日 2018年09月02日
八ヶ岳はいくつかの山で構成された連山の総称ですが、大きく南八ヶ岳と北八ヶ岳に分けて呼ばれます。南八ヶ岳は男性的な鋭峰で構成されていますが、北八ヶ岳は女性的ななだらかな山々で構成されています。天狗岳はそんな八ヶ岳のちょうど真ん中。南八ヶ岳と北八ヶ岳の境にあると言えます。どちらかというと南八ヶ岳風の鋭峰と言えるので、南八ヶ岳の北端と言えなくもありません。そんな天狗岳は西天狗と東天狗の双耳になっており、二等三角点のある西天狗の標高は2646.04mです。
天狗岳へは北八ヶ岳側の黒百合平や中山峠から往復するケースと、南八ヶ岳側の夏沢峠方面からの往復や、通過点とする場合があります。私も若い頃はそのような登り方をしていたのですが、車利用ができる現在では、今回採用した唐沢鉱泉から西尾根で直接西天狗に登り、東天狗から黒百合平に下って唐沢鉱泉に戻る周回ルートが日帰りルートとして便利です。
今回は熊谷のYさんをお誘いして、唐沢鉱泉から西尾根を登り西天狗、東天狗と拾って、黒百合平から唐沢鉱泉に戻る周回ルートを歩きました。バスの通じない唐沢鉱泉ですから、ここはマイカー頼りとなりますが、鉱泉の手前に30台くらい置ける駐車スペースがあるので助かります。しかも帰りに唐沢鉱泉の湯に浸かってさっぱりして帰れるのは魅力です。
八ヶ岳 天狗岳、中山峠、黒百合平 周回ルート
唐沢鉱泉起点で西尾根を登高し
西天狗、東天狗、中山峠、黒百合平を経て唐沢鉱泉に戻る
緑破線: 予定ルート 赤実線:歩行GPS軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
通過時刻:
唐沢鉱泉駐車場 8:09
しゃくなげ橋 8:18
西尾根に乗る(枯尾ノ峰方面との合流点) 9:18
第一展望台 10:14
第二展望台 10:52
鞍部 11:00
西天狗山頂 11:33 (昼食) 11:48
東天狗 12:10 - 12:35
スリバチ池分岐 12:44
中山峠 13:25
黒百合平(黒百合ヒュッテ) 13:33 - 14:00
渋の湯方面分岐 14:40
唐沢鉱泉 15:48
所要時間:7時間40分
総歩行距離:約11.0Km
上信越自動車道を走り、佐久から中部横断道路(現在無料)に入ります。佐久南で降りて、中山道の国道142号から国道152号の大門街道を走り、白樺湖畔から芹ヶ沢を通過。別荘地の奥の桜平への分岐から砂利の林道を走って唐沢鉱泉に至ります。砂利の林道は普通車でも通行可能で、道幅も広く安心ですが、帰りの下りのスピード出し過ぎには注意です。
唐沢鉱泉の駐車スペース トイレもある
この時間(8時ごろ)で9割方埋まっていた。
前方の建物が唐沢鉱泉
鉱泉客用の駐車場は別にある
唐沢鉱泉の玄関
黄色い箱が登山届
秘湯といわれる鉱泉 700円
唐沢鉱泉の手前に路肩を広げたような駐車スペースがあり30台くらい停められます。トイレもあります。身支度をして唐沢鉱泉の玄関で登山届を提出します。宿の前から沢側に一段下がったところにある「しゃくなげ橋」を渡って登山道に入ります。
鉱泉の前の一段下にあるしゃくなげ橋
この橋で唐沢を渡って登山道に入る
枯尾の峰方面分岐
ここで西尾根に乗る
周りはシラビソの樹林
道は八ヶ岳特有の苔むした細いシラビソが林立した樹林の中の道です。尾根の側面を斜めに大きな電光を描いて登って行きます。1時間ほどで西尾根の尾根筋に出て「枯尾の峰」への道を分けます。ここはまだ樹林の中ですが、尾根筋の急登を少し頑張ると、明るい展望台に出ます。露岩のある「第一展望台」です。これから登る西天狗、根石岳、箕冠山(みかむりやま)、峰ノ松目(みねのまつめ)などが見えていました。
第一展望台から小ピークの向こうにガスに煙る西天狗
右の小さなピークは根石岳 右端は箕冠山の一部
背の低いシラビソに這松、シャクナゲが混ざる
第二展望台
ガスの中で何も見えない
右下はガレているので注意
第一展望台は標高2400m位で、そろそろ森林限界に達します。背の低いシラビソに、這松とシャクナゲが混ざり高山帯の様相を呈します。再び樹林に入って目立たないピークを越え、再度明るくなったら「第二展望台」です。南側の足元がガレているので要注意です。ここからは茅野(ちの)方面の生活圏が見えました。ここから一旦鞍部に下り、おびただしい露岩の急斜面を登り、やがて傾斜が緩むと西天狗の山頂です。山頂は完全に這松の世界ですが、山頂部は土が露出しています。
西天狗手前の露岩の斜面
大きな岩がゴロゴロ
西天狗の山頂
二等三角点 東岳 2646.04m
標柱の左に石仏と石標がある
山頂には二等三角点 点名 東岳 標高2646.04mがあります。西天狗ですが点名は東岳です。おそらく西側の茅野側からの呼称でしょう。表土が流されて標石が露出しており、岩を集めて支えてありました。傍に馬頭観音らしき石仏と石碑がありました。馬頭観音が山頂にあるのは珍しいのですが、おそらく周辺のどこか近くの通商路から持ってこられたものと想像します。山頂は広いのですが、広範囲に土が露出し、東天狗側がガレています。
東天狗の山頂にある道標
積雪対応か?背が高い
ガスっていると下る方向を間違えやすい
ガスが出て周りは真っ白です。昼食をとって早々に東天狗に向かいました。一旦下って、鞍部から同じくらい登り返すと東天狗です。東天狗の東側は大きくガレた急斜面です。背の高い道標が中山峠(黒百合ヒュッテ)側と、夏沢峠の根石岳方面を示しています。
ここでうっかり根石岳方面に下ってしまいました。ガスが切れた一瞬に見えた地形が、なにやら変です。急いでGPSを見てみると高さで50mほど下ってしまいました。慌てて東天狗に戻り、中山峠方面の正しい道に入りました。ガスっていると地形の把握が鈍くなります。
東天狗から中山峠へ下る
天狗の庭や黒百合ヒュッテが見える
稲子岳南壁 と にゅう
少し下るとガスの下に出たのか、眼下に勇壮な稲子岳の南壁が見え、その下方にしらびそ小屋の屋根がぽつりと見えています。波打つような樹林の原です。黒百合ヒュッテの屋根がすぐそこに近づき、尾根筋の露岩を通過して中山峠に至ります。中山峠は峠としては国内で指折りの高所の峠(2410m)です。
中山峠
標高の高い峠のひとつ 2410m
中山峠からは木道を10分程度歩けば黒百合ヒュッテです。小屋の前に大岩を組み合わせたベンチやテーブルがあり、コーヒーを沸かして一息つきました。昔、3月に訪れたときここで雪洞を掘って野営し、天狗に登ったのを思い出しました。
黒百合ヒュッテ
手前の黒百合平から
ヒュッテから唐沢鉱泉へは沢筋の道で、露岩をピョンピョン飛んで歩くような道です。金属製の橋はいいのですが、腐りかけた丸太橋は要注意です。そろそろ露岩の道に飽きたころがパノラマコース、渋の湯方面との分岐です。ここからさらに下って沢音が聞こえてきたら、赤い橋で唐沢を渡り、砂利道を数分で唐沢鉱泉です。途中に唐沢鉱泉の源泉(?)があります。
唐沢鉱泉の源泉?
若いころ何度か登った天狗岳ですが、西尾根から登ったのは今回が初めてでした。西天狗の西面に露岩帯があるのは知りませんでした。八ツ岳はこのような露岩が累々と積み重なったところが多いようです。また、西尾根は積雪期に登りやすそうな尾根だなとも感じました。
唐沢鉱泉はタクシー利用も可能かも知れませんが、基本的にはマイカー利用でしか行けない鉱泉でしょう。宿泊も可能です。風呂は総古代杉造りで洗い場はヒバの床木。熱い湯とぬるい湯の湯船があり、打たせ湯も備わっています。泉質は二酸化炭素冷鉱泉とのことです。とにかくゆっくりくつろげる感じのい風呂です。
(熊五郎)
コメント(2)
- お天気は大丈夫でしたか。ひなびた温泉がいい感じ。 (agewisdom) 2018/9/2(日) 午後 1:42
- > agewisdomさん 好天を選んで行ったつもりですが、山は曇りでした。仕方ありません。(熊五郎) 2018/9/2(日) 午後 2:28