駅舎の出合い いつも胸にあったロマンス

投稿日 2017年11月21日

私は20代前半のまだ若いころ上越線のある駅に降り立った。

山に入るためである。

その駅で女子高生に出会った。

バスの出発を待つための待合室での偶然の出会いだった。

女子高生が山姿の私に、「どこの山に登るんですか」と声をかけたのだ。

それだけでも珍しいことなのに、その後意気投合し、私は最後に自分のペンダントを渡して別れた。

時は過ぎた。

私は結婚し娘を授かった。

やがて娘は小学校に通い、友達ができた。

ある日、妻とも仲のよい、その友達の母親と逢う機会があった。

逢って私はおどろいた。見覚えのある顔と聞き覚えのある声。

その女性は、あの時の女子高生、その女(ひと)だったのだ。

彼女は胸のペンダントを握りしめて、その後の自分の境遇を話し始めるのだった。

.....

目の前を急いで通り過ぎた人

しがみつこうとした

でも、あれでよかったのよ

はやく忘れようと思ったけど

このペンダントが許さない

ことしもあのときのように雪が降る

どうか消してよ

わたしのロマンス

いつもわたしの胸にあった人

どんな境遇になっても

ぜったいに忘れることはないわ

あの待合室はいまもあるわ

あなたがすわった場所

いまでも、あなたの幻が見える

今も信じているわ

わたしのロマンス

わたしいまは幸せよ

だけどひとつ心残り

このまま時が過ぎていくのね

あの日が今もわたしを苦しめる

運命のときは突然に

いたずらをするわ

いまも胸にある

わたしのロマンス

白いドレスの大橋純子が歌う「シルエット・ロマンス」でも聴いてみるか。

(熊五郎)

コメント(4)

  • ……。 (agewisdom) 2017/11/21(火) 午後 11:22
  • > agewisdomさん ロマンスが蘇ったでしょうか。(熊五郎) 2017/11/22(水) 午前 1:17熊五郎さん!ご無沙汰しております(^^;) とてもいい話に感動です 熊五郎さんの実話なんですか?^^ [ ふくまつ ] 2017/11/23(木) 午前 2:17
  • > ふくまつさん ありがとうございます。80%くらい実話です。ペンダント当たりはアレンジしてあります。(熊五郎) 2017/11/23(木) 午前 8:10

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