関東の主な一等三角点
投稿日 2018年01月13日 (2024年6月24日加筆)
山頂などに設置されている三角点。三角点を見るのが楽しみで山に登る人もいるようですが、三角点を見つければ、正にその場所に居るということが実感できるからです。それが一等三角点であれば、その喜びも大きいものです。なぜならその標石は立派で、全国に約1000個しかないからです。
三角点は、一等本点、一等補点、二等、三等、そして四等まで5種類あるようで、それらは石柱を埋めて、その位置が示されています。一等三角点の石柱は最も大きく立派です。
一等三角点は一辺が約40Kmの三角形を形成するよう設置されており、補点はそれを補うように一辺約25Km間隔で設置されています。
これら三角点が設置された頃は、三角測量が基本ですから、当然隣接の三角点は見通せることが必要ですので、多くが眺めのよい山頂に置かれています。近年は測量方法も電子化され、三角測量は行われていないようです。最近、石柱にICタグが埋め込んでいるようですし、石柱ではなくGPSのレシーバを使用した電子基準点も設置されているようです。
しかし明治、大正、昭和にかけて先人が苦労して設置した三角点を見ると、昔の苦労が忍ばれ、大切にしなければならない気持ちになります。山頂で時々見かけるのですが、石柱に足を掛けて自慢げに写真に収まる人。ひどい場合は、石柱の上に立って、バランス遊びをする人。腰かけて食事をしている人など。山に登る資格の無い人もときどき見受けます。先人の努力をどう思っているのでしょうか。
さて、私は一等三角点の写真を集めたり、好んで登るような趣味はありませんが、できれば登っておきたいという気持ちもあります。そこで関東の一都六県にある一等三角点を勉強するためにも、まとめておくことにしました。写真は随時追加していきます。
赤城山地蔵岳(じぞうだけ) 群馬県前橋市 本点 1673.88m
赤城山は群馬県の上毛三山の一つである。すっぽりと群馬県内にあり、他県とは接していない。赤城山というピークは無く、上部のカルデラ湖である大沼をぐるりと取り囲むようにいくつかのピークがある。最高点は「黒檜山」1828m。地蔵岳は大きなカルデラ湖の中に比較的新しく登場した寄生火山で、カルデラ湖を今の大きさの大沼にした。山頂部は丸く広いので、放送局の電波塔が林立する。三角点のある山頂部は岩がゴロゴロしており、昔、建造物があったのか?石垣が残っており、石仏や石塔がある。眺めは黒檜山をはじめ、大沼などが素晴らしい。標石は保護石とともにコンクリートに埋め込まれているが、やや風化が進む。点名は「赤城山」で、ここに赤城という名が残っているが、麓には赤城神社があり、大沼の湖畔に赤城神社の奥宮が鎮座する。
雲取山(くもとりやま) 東京都 補点 標高 2017.09m
雲取山は東京都の最高峰だが、埼玉県、山梨県の三県にまたがる山でもある。山頂の標識は木製であったが、近年立派なコンクリート製に替えられた。そのコンクリートの標識には標高2017.1mとなっている。一等三角点の山なら2017.09mとしてほしいところだが、その辺りはご愛敬か。一等三角点は周りをコンクリートで固められているが、その脇に雨でずれ落ちそうな変な形の三角点がある。この四角錐の三角点は明治15年ごろ設置された「原三角点」である。これが残っているのは群馬県下仁田町白髪岩と、新潟の米山の3つのみである。
榛名富士(はるなふじ) 群馬県高崎市 補点 標高 1390.27m
群馬県の上州三山のひとつ「榛名山」。榛名山自体は山群の総称であるが、中央に「榛名富士」という均整のとれた富士のような寄生火山がある。榛名湖を従えて非常にうつくしい。ここを愛した文豪も居た様だ。榛名富士にはロープウエイがあって容易に山頂に登ることができる。麓でのんびり乗馬をたのしみ、榛名湖で遊んで、榛名富士に登って景色を満喫すれば、一日の観光としては十分だ。伊香保温泉に寄れば完璧である。そんな榛名富士の山頂には社が鎮座し、その前に一等三角点がある。4つの保護石が残っており、コンクリートで固められているが、少し陥没し、割れている。標石自体の保存状態はよい。
奥久慈男体山(おくくじなんたいさん) 茨城県 補点 標高 653.82m
奥久慈男体山の三角点は保護のコンクリートごと傾いている。このような山頂は表土の流出が激しい。また、標石が欠けて痛みも激しいようだ。コンクリートによる保護など努力はしているようだが、継続処置されていないので、手遅れにならないうちになんとかならないものだろうか。そもそも、設置された当時どうだったかは定かではないが、もっと安定した山に設置するべきだったのかも知れない。(一等三角点は火山などの地形的変化の激しい山は避けられると聞くが) それともこれほど人が来る山とは思っていなかったのだろうか。
袈裟丸山(けさまるやま) 栃木県 補点 標高 1878.16m
袈裟丸山は足尾の奥にある山で、近くにある皇海山(すかいさん)よりは登りやすいが、少しアプローチの長い山だ。春のヤシオツツジを求めて登る人も多い。この写真では片隅に写っているだけなので状態はよくわからない。山頂の表土は流出しやすそうな赤土だが、あまり露出したり痛んでいるようには見えない。
晃石山(てるいしやま) 栃木県 本点No.130 標高 419.06m
ほとんどの山頂がそうであるように、この晃石山でも、人が立ち入るために草が生えず土が露出し、降雨や風によって表土が流されている。昔は頭の部分のみが露出していた。最も大事な基石は地下にあるが、保護石は失われ、代わりに後でコンクリートで四方をべったりと固定されている。こうでもしないと心無い登山者に踏み倒されるだろう。
大鳥屋山(おおとやさん) 栃木県 補点 標高 693.06m
大鳥屋山の山頂はのっぺりと広く、訪れる人も少ないからであろうか、本来の姿を保っているようだ。保護石は地面の下であろうか見えない。標石の表面の白く丸いものはj情報コードを埋め込んだICタグのようなものらしい。この日も風の音だけで、人影はなかった。
唐沢山(からさわやま) 群馬県 補点 261.08m
群馬、栃木にまたがる足尾山地の南の端に、渡良瀬川で分離された八王子丘陵がある。東西に長い丘陵で、300mに満たないピークが集まっている。唐沢山はそれらピークのひとつで、雑木林に覆われた静かな山頂だ。私が登った1月31日は、冬枯れの木の間から、隣の一等三角点本点 赤城山の地蔵岳を眺めることができた。
武尊山(ほたかさん) 群馬県 補点 標高 2158.26m
武尊山の三角点はほぼ完ぺきな姿を保っている。周りをセメントで補強しているが、周囲に保護石もあって、正しい姿と思われる。写真のようにお札が置かれている。宗教的な石祠などはこの山頂にないためであろうか、修験者がここで祈りをささげていた。この山頂もあまり広くは無い。少しずつ表土が流出するだろう。
子持山(こもちやま) 群馬県 補点 標高1296.13m
子持山に登ったのは2月だった。人けのない山頂に、ぽつんと三角点があったが、そのころはまだ一等三角点だのという区別は知らなかった。積雪は大したことはなかったが、とにかく寒かった。山頂で温かいものを作ったが、早々に引き上げた。背後の岩のところが一番高いところだが、三角点はその手前にある。
赤久縄山(あかぐなやま) 群馬県 補点 標高 1522.33m
赤久縄山の山頂ものっぺりと広く、草が茂っている。ややもすると草で三角点が行方不明になりそうだ。ほとんど頭の部分も土に隠れて、上面だけが出ている。アイゼンなどで踏みつけないようにしてほしいものだ。傍らに石があるが、保護石かどうかは分からない。
堂平山(どうだいらさん) 埼玉県 本点 No.146 標高 875.793m
堂平山は車で来れるため家族連れなどでにぎわう山だ。天文台があって公園化されているようなものだ。天文台横にベンチで囲まれた三角点がある。管理されているのか、表土の流出はなさそうだ。
物見山(ものみやま) 埼玉県 補点 標高 375.44m
物見山は日和田山とセットで登られることが多いと思うが、どちらかというと単なる通過点のような感じである。しかも物見山の看板があるのは三角点の場所ではなく手前であるため、三角点のある本来の山頂に気付かずに通過する人も多いと思う。ここの三角点も綺麗に頭だけ出している。
城峯山(じょうみねやま) 埼玉県 補点 標高 1037.72m
城峯山の山頂には展望台を兼ねた電波等がそびえているが、三角点はその基部にある。標石は新しく、年月を経てきたような風化は見られない。近年再埋設されたのであろう。眺めはすばらしく、奥秩父や赤久縄、御荷鉾、両神山、八ヶ岳、蓼科山など360度の展望が得られる。すぐ下に城峯神社の社が見えている。
この他の三角点の写真は撮れ次第、追加したいと思います。
関東一都六県 主な山の一等三角点
(参考: 新ハイキング社 「一等三角点の名山と秘境」より)
標高は後日修正されているものもあるが、参考図書のままとした。
左から山名、標高 *は本点を示す 赤字は本稿に写真あり
栃木県 計12 本点 6
稲荷山(いなりやま) 298.43m
*三本槍岳(さんぼんやりだけ) 1916.944m
*高原山(たかはらやま) 1794.85m
*男体山(なんたいさん) 2484.45m
*松倉山(まつくら山) 345.42m
磯山(いそやま) 104.76m
羽賀場山(はがばやま) 774.53
袈裟丸山(けさまるやま) 1878.16m
*八幡山(はちまんやま) 158.663m
大鳥屋山(おおとやさん) 693.06m
*晃石山(てるいしやま) 419.06m
茨城県 計22 本点 4
*八溝山(やみぞさん) 1021.839m
栄蔵室(えいぞうむろ) 881.56m
(奥久慈)男体山(おくくじなんたいさん) 653.82m
*高鈴山(たかすずやま) 623.34m
吾国山(わがくにさん) 518.15m
*筑波山(つくばさん) 875.867m
群馬県 計9 本点 1
武尊山(ほたかさん) 2158.26m
子持山(こもちやま) 1296.13m
*赤城山(地蔵岳)(あかぎやま) 1673.88m
唐沢山(からさわやま) 261.08m
高田山(たかだやま) 1211.96m
榛名富士(はるなふじ) 1390.27m
赤久縄山(あかぐなやま) 1522.33m
上城山(かみじょうやま) 197.74m
埼玉県 計10 本点 1
観音山(かんのんやま) 77.41m
城峯山(じょうみねさん) 1037.72m
*堂平山(どうだいらさん) 875.793m
物見山(ものみやま) 375.44m
東京都 計11 本点 5
雲取山(くもとりやま) 2017.09m
三原山(みはらやま) 603.58m
神奈川県 計8 本点 6
*丹沢山(たんざわさん) 1567.06m
神山(かみやま) 1437.90m
千葉県 計26 本点 4
鋸山(のこぎりやま) 329.45m
(熊五郎)
コメント(2)
- 昔は肉眼で他の三角点を見通して観測したのでしょうか?大変な作業ですね。今は測量機器が発達しているので使わないのですか?ものみ山はすぐ近くでてっぺんまで行ったような気がしますが、気づきませんでした。というより知らなかったのでしょうね。 (agewisdom) 2018/1/13(土) 午後 5:59
- agewisdomさん 昔は見通しで三角測量していたようです。さすがに肉眼では無理かと思いますが。数年前に上映された剣岳点の記の方法ですね。いまはこの方法は使われていないようですが。物見山の三角点は気づかないと通り過ぎてしまいます。(熊五郎) 2018/1/13(土) 午後 9:56