GPX_Viewerを作ってみました
投稿日 2026年04月20日

GPSソフトで測位しながら歩いた歩行軌跡を比較
左端が登山口の標高、右端が下山地点
距離/高度で5件の歩行軌跡を描画
GPX_Viewerを作ってみました。登山などの歩行軌跡を距離/高度のグラフで視覚化するソフトです。
登山をしていると、山深いところだったのに意外と楽だったとか、低山なのに意外と疲れたなと感じることがあります。疲れるか疲れないかは、距離、高度、傾斜、アップダウンの多さ、歩きにくさ、そのときの身体の状態などが複雑に関係するかと思いますが、判断の一助となるのがGPSの歩行軌跡(トラック)だと思います。あまり疲れなかった山のGPS軌跡と、疲れた山の軌跡。そしてこれから予定している山のルートを比較すれば、今回は楽そうだなとか、疲れそうだなと予想できるかも知れません。
最近はGPSソフトをスマホで実行し、測位しながら歩くことが一般的となっています。常に現在位置がわかる便利な時代になりました。歩行軌跡はGPXファイルとして保存できます。GPXファイルはXMLという書式で書かれた文字ファイルです。C++やC#などの言語ではXMLファイルを簡単に扱えるので、各測位ポイントの緯度・経度、高度から距離を計算し、それを累積すればその距離と高度のグラフが得られます。水平軸(X軸)に距離、そして垂直軸(Y軸)に高度を置けば、上のような軌跡が描けます。
上のグラフは5件の実際の歩行軌跡(登山口から下山までの全体)を描いたものです。
長野県北安曇郡白馬村 八方尾根から唐松岳往復 12.4km 9時間43分 累積高度+1157m
栃木県日光市足尾町 銀山平から庚申山往復 15.1km 9時間25分 累積高度+1785m
東京都西多摩郡 大ブナ尾根から御前山往復 10.6km 7時間34分 累積高度+1080m
東京都青梅市 高水三山 10.1km 5時間42分 累積高度+764m
埼玉県入間郡越生町 大高取山 10.2km 5時間58分 累積高度+680m
それぞれ特徴がよく表れています。大高取山はグラフのいちばん下。いわゆる低山ですが、距離は10kmほどあります。ハイキングにしては歩いたなという感じになるでしょう。高水三山は奥多摩の入門の山で、東京から近いため多くの人が訪れます。高差にして600mくらい登るので、ハイキングとしては登ったなという感じになり、距離も10km程でちょっと汗をかくハイキングといったところでしょうか。大ブナ尾根からの御前山は往復なので左右対称になっています。この尾根は登りはじめの200mほどが急で、ここで体力を消耗すると、あと700mを登らなければならないのでたいへんです。山頂までの距離は5kmほどですが900mの高差は登りごたえがあります。庚申山も往復なので左右対称になっています。この山は3kmほどの長い林道歩きのあと、約1000mの登りが待っています。グラフではわかりませんが、陰鬱な雰囲気の道が続き、山荘の上はきつく登りにくい急斜面。おまけに山頂に立っても展望はありません。距離も15kmあり、この中でもっとも疲れる山です。もっとも高いところを歩いているのは北アルプスの唐松岳を八方尾根から登った場合ですが、約1000mの登りが同じ調子で続きます。ほとんどが展望のよい尾根筋で、途中の八方池や、白馬、五竜の眺めを楽しみながら登れるので、時間はかかるものの気分的にはよい登りです。ただし吹きっさらしで天気が荒れると大変です。

アップダウンが多く、距離も長いルート2件
八間山から白砂山と三峰から雲取山
このようなルートを日帰りするのは結構きついものです
アップダウンに関してもある程度見ることができます。地図ではなかなかわからないアップダウンですが、歩行軌跡にははっきりと表れます。10mや20m程度の細かいアップダウンも疲れますが、このグラフのように100mから300mくらいを下っては登り返すようなルートは疲れます。かえって一定の傾斜をひたすら登るというのは、意外と疲れないものですが、大きく下り、足が下りに慣れてしまったころにまた急な登りが始まると、身体全体が抵抗しているような感覚になり、疲れを感じるものです。

パソコンの地図ソフトで作った予定ルートと実際の歩行軌跡を比べる
少しズレはあるが、ほぼ傾斜やアップダウンの様子は同じ
このように事前に予測できればぺース配分にも使える
歩きながらスマホのGPSソフトで歩行軌跡を採るほかに、登山計画時に家のパソコンなどの地図ソフトで予定のルートのトラックを作ることができます。登山時はその予定ルートに沿って歩きます。予定ルートはあくまでも予想ルートなので、実際の歩行軌跡が予定ルートとぴったり重なるとは限りません。地図上で歩く予定の道が、実際にはそのとおりについていないことは往々にしてあります。バリエーションルートでは、このへんを歩くだろうと予想していても、実際には大きな岩壁があって迂回をよぎなくされる場合もあります。それは当然予想ルートと歩行軌跡の高度などの差となって現れます。また、地図ソフトの標高精度は50mほどなので、このあたりも影響してきます。上の画像は、奥多摩のサルギ尾根から大岳山のルートで、青線が実際の歩行ルート。赤線が地図ソフトで描いた予想ルートです。若干差が出ています。実際は9.0km 累積標高+1001mですが、予想では8.7km 1069mとなっています。この場合、距離的なズレ(大きかったら問題ですが)よりも、全体的な形、すなわちどのあたりが急で、アップダウンはどの程度かなどがわかればよいと思います。

標高0mを起点で描く
登山口から山頂までの高差が直読できる
他の歩行軌跡と比べることができる
登山口の標高を0mとして比較できるようにしてみました。同じ形の弐つのグラフは奥多摩の馬頭刈尾根(まずかりおね)の実際の軌跡と、それを0m起点にした場合です。0m起点にすると、登山口よりも下山地点の標高が低いため標高がマイナスになっています。このように0m起点にすれば登山口から山頂までの高差がそのまま読み取れます。また、他の山と比較ができます。上の画像では上養沢から日の出山に登り金比羅尾根を下るルートを0m起点にしています。このグラフから、距離的には馬頭刈尾根と日出山は大差ありませんが、日の出山のほうが山頂まで200mほど低い分、楽と予想できます。また馬頭刈尾根も金比羅尾根も山頂から同じような傾斜で徐々に下降しますが、金比羅尾根の方が最後まで傾斜がゆるく、楽と思われます。

携帯の電波が届いていた範囲(赤い部分)を表示
登山口からしばらくと下山時につながっていることが分かる
ヨコスズ尾根の方は三ッドッケから下って、次のピークの蕎麦粒山までの稜線上で時々つながっている
私はGPSソフトにGiographicaを使っているのですが、このソフトで歩行軌跡をgpxファイルに出力すると、トラック情報の各測位ポイントに、携帯が通信可能だったかどうかが記録されます。つまりその位置で携帯の電波が届いていたかどうかが分かります。届いている場合はGPS衛星のみよりも測位精度が上がるような仕組みでしょう。この情報を使えば上の画像のように、携帯の電波が届いてた地点が分かります。上のグラフは奥多摩のサルギ尾根から大岳山とヨコスズ尾根から三ッドッケの歩行軌跡です。赤い部分が電波の届いていた区間です。いずれも登山口からしばらくと、下山時に電波が届く範囲に入っています。すこし見にくいですが、よく見るとサルギ尾根では山頂から下った地点でも所々電波が届いていたことが分かります。ただ、これはスマホの契約しているキャリアにもよりますので、人の結果はあまり役にたたないかも知れません。
(雅熊)

