富士はやはり美しい

投稿日 2024年10月04日

金峰山からの富士

富士はやはり美しい。どこの山に登っても思わず富士が見えるか探してみるものである。山頂に同じ時間に居合わした誰かが、「あっ!、富士が見える」と叫べば、皆がその方向に目を凝らす。そして見えたら「おぉ~」と声を漏らすのだ。

富士は均整がとれていて、どこから見てもほぼ同じ姿だが、独立峰であり、他の山から離れているせいか、山肌があらわに見えるようなことはなく、ほとんどが霞んだり、シルエットだったりするものだ。それが上品さを醸し出している。上の写真は金峰山からの富士だが、やはり遠く霞んだ姿が、分厚い大気の中に浮かんでいるように見えていた。

日本人にとって富士は心の中のシンボルであり、だれもが知る最高峰。富岳百景など絵にも多く描かれ、現在では専門の写真家も多い。あらゆる角度から眺めて褒めたたえる山である。日本人の心の支え。富士があるからこそ、日本人は一定の日本人らしさ、日本人の風格を保っていられるのではないだろうか。富士は日本人の正直さ、上品さ、真面目さ、人のよさの象徴のように思えるのだ。地球上には高く美しい山はいくらでもあるが、富士は日本の玄関口にすっくとそびえ、まさしくその美しい姿は、日本人の心情を物語ってるように感じ取れる。おそらく外国から来た人は経済や技術が発達し、高い民度を維持する日本人を知れば、その心の中に富士をだぶらせるだろう。

最近、富士登山で事故が多発しているのは残念なことだ。何万もの人が登れば事故の発生確率も上がるだろうが、3000m級の山を甘く見ない方がよいだろう。むやみに登ろうとせず、どこかから眺めて、富士の印象を母国に持ち帰ってほしいものである。

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