登山のセンス:尾根の末端は急と心得る
投稿日 2026年11月05日

長沢背稜蕎麦粒山(秩父側)北稜の急斜面を登る
日本の山は沢が入り組んでいます。沢は毎日絶え間なく山を削り続けています。そのような地形ですから、登る尾根、もしくは下る尾根が、深く切れ込んだ沢筋と沢筋の間の尾根であることが多いものです。
つまり尾根の末端と沢に面した左右の斜面は、現在沢に浸食されている場所だということになります。尾根筋を歩いていていると、足元の左右がびっくりするほど落ち込んでいることがあると思います。滑落の危険はありますが、尾根筋を忠実に歩いている限り安全です。今回の話は尾根筋ではなく、尾根の末端の話です。
尾根を下って行くとやがて下にある沢へと落ちていきます。そこは絶えず浸食されているので急斜面であることが多く、下手をすれば断崖絶壁で降りられないということもあります。よく山で迷ったら沢に降りず、尾根筋を降りろと言いますが、その尾根筋を降りても最後の最後に危険な急斜面が待ち受けていることが多いのです。登山道の無い尾根を安易に下るのは無謀と言えます。(下に林道が見えているのにコンクリート壁などで降りられないなんてことも)
逆に登りの場合、沢音を聞きながら林道を辿り、橋を渡るか渡渉して尾根に取付きます。ここでたいがいはいきなりの急登です。100m いや200mの高差を登り切ってやっと尾根筋の乗るというのもよくある話です。その斜面が植林帯であれば杣道(そまみち)が期待できます。杣道の多くは電光に切られ、急な斜面をジグザグに登っていきます。それでも一般的には急なものです。登山のひとつの秘訣としては、この尾根末端の急登で体力を消耗しないことです。道の無い尾根であれば注意深く踏み跡を探し、尾根の弱点(すこしでも傾斜の緩い場所)を選んで斜めに登ったりします。
一般道でもバリエーションルートでも、登る尾根、下る尾根を十分研究しておく必要があります。特にその末端を。取付いてから高差何mくらい、どのくらい傾斜の斜面を登らされるのか。また、どのくらいの斜面を下ることになるのか。まっすぐ降りられるか、または、たとえば小沢側に巻いて降りていかなければならないのかを見極めておく必要があります。岸壁は無いのか、安全に林道に降り立つことができるのかなど。
100%期待はできませんが、尾根末端の最上部に送電鉄塔があるような場合、その尾根の下まで送電鉄塔の巡視路の利用が期待できます。巡視路は危険な場所にステップが切ってあったり、手すりさえある場合があります。しかし不明瞭になっていることも多く、黄色い案内標も失われている場合も多いのであてにはなりませんが利用価値はあります。
まとめると、
尾根の末端は急斜面であることが多い
尾根末端が植林帯の場合杣道が切られ、傾斜を苦にすることなく登れる場合もある
尾根の末端の急斜面の登高で体力を消耗してはならない
しかたなく下降に利用する尾根は、末端をよく確認し安全に下降できるか確認してから使うべき
送電鉄塔が尾根末端上部にあれば、その巡視路が期待できるが、不明瞭なことが多い
(雅熊)

