断れない山外交 日本最高所のロマンス

投稿日 2018年02月12日

私の勤めていた会社には、アメリカ人がよく来日していた。

本社から来たアメリカ人が日本にいつも常駐しているのだ。そのアメリカ人たちには英語ペラペラの美人秘書が付いていた。

私はその秘書の女性と親しかったので、何回かいっしょに山に登ったことがある。

私の山好きは社内に知れ渡っていた。

アメリカから来る人は、日本の観光もしたくなるのは当然だが、けっこう山にも登りたいという人も多い。スキーにも連れて行けというケースもある。そのたびに山担当の私が引っ張り出される。

富士山頂気象レーダーをバックにご満悦

私としては、たまに気分を変えるにはうってつけだったが。

ある日、日本によく長期滞在するアメリカ人が富士に登りたいという。毎日、昼休みに約2Kmを一緒にジョギングしている気の知れたアメリカ人だから断るわけにはいかなかった。しかし外国からの要人をゴルフ接待するようなもので、失敗は許されない(笑)。ゴルフ外交ならぬ山外交である。

私は、とにかく山頂に押し上げるので、その他の準備はやってくれと秘書に頼んだ。

バスの手配は秘書がやってくれた。新宿発の夜行バスをとり、暗いうちに五合目から登って山頂でご来光が拝めるようにし、降りてきたら、河口湖で富士を見ながらボートで疾走する。という計画が出来上がった。しかも、一緒に登りたいという便乗組まで現れて、秘書自身も同行することになった。

当日、幸い天気はよかったが3000mともなると空気は薄い。八合目でご来光となったが、中に頭痛を訴える者が出て、女性、男性数名が八合目の小屋で待つことになった。本人、私、男性の3名だけで山頂の剣ヶ峰に行くことになった。

日本の最高所を極めたアメリカ人は満足そうだった。当時はまだ富士山頂に気象観測所があり、剣ヶ峰には大きな木の櫓が組んであった。

私がもし逆の立場で、アメリカの最高峰マッキンリー(今は改名されている)に登れたとしたら感激するだろう。そして押し上げてくれた人に感謝するだろう。今彼はそういう気分でいる。そう感じて、自分なりに満足していた。

すぐに下山して、麓の河口湖でモーターボートを頼んで、富士を見ながら疾走してもらった。

翌日からはまた、そのアメリカ人と昼休みの2kmのジョギングが始まった。その後そのアメリカ人には関東の低山もいろいろ案内した。

また美人秘書から山外交を頼まれたら、私は断れないだろう。

薬師丸ひろ子の「瞳で話して」でも聴いてみるか。

(熊五郎)

コメント(2)

  • 素敵な外交ですね。私が坂戸に来たばかりの頃のアメリカ人の講師が富士山に登りたがり、私以外の外資系の会社に勤める二人とも富士登山経験者、3人で行って来ましたよ。彼女は舞妓の着物着たり、原宿でコスプレしたり様々な体験してフランスの大学院に進みました。積極的な人でした。 (agewisdom) 2018/2/12(月) 午後 2:21
  • > agewisdomさん 夏ならしんどいですがさほど危険なく登れるという意味で、最高峰に簡単に登れる国も珍しいですよね。それも外国人が誰でもしっている日本のシンボルですから、登りたがるわけですね。(熊五郎) 2018/2/12(月) 午後 9:16

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